涸沢から北穂高岳へ カメラ片手の山歩き

涸沢から北穂高岳へ
3106m
2012年9月28〜30日

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穂高と戯れる雲模様


夜明けの遠望 富士山・八ヶ岳と南アルプス・妙高連山


モルゲンロート奥穂・黎明・涸沢小屋の奥穂高岳


岩ひばり?・北穂から槍ヶ岳を望む・奥穂高とジャンダルム


●2012年9月28〜30日
9月28日
08:55 上高地
09:44 明神池
10:33 徳沢
11:25 横尾〜11:45
12:45 本谷橋
13:50 小休止
14:55 涸沢小屋
9月29日
04:30 涸沢小屋
05:20 日ノ出待ち朝食〜6:50
06:35 小休止
08:03 北穂高岳山頂〜8:45
09:50 小休止
11:00 涸沢小屋〜11:50
13:25 本谷橋
14:35 横尾
15:40 徳沢
16:35 明神・山のひだや
9月30日
上高地、大正池まで散策
◆経営戦略塾若手会員と北穂高岳(3106m)に登頂

昨年訪ねた上高地の宿で味わった岩魚と骨酒の話しをしていたら、
ぜひ行ってみたいとのこと。4人の若手会員の要望で、先週末に入
った。総勢5人がまちまちの計画で土曜に上高地の宿へ集結。

僕は2人の会員と前日からの計画で北穂高岳に挑戦した。雪の季節
も含めて5回登っている。69歳になった今回は、さすがに体力に
自信がないので、途中の涸沢小屋で一泊してからアタックした。

4時起床、四時半出発。若手メンバー2人は30才代、僕は69才
である。山経験では負けないので、トップを歩くことにして、間に
女性、しんがりを男性に任せてヘッドライトを頼りに歩き始めた。

1時間登った見晴らしの岩場で朝食兼日の出待ち休憩をとる。東の
空が茜色に輝き、上空の青と混ざるグラデーションが美しい。朝日
が突然、奥穂高岳をモルゲンロートに染める。荘厳な眺めだ。

気温は平地の冬並で寒い。それでも登り始めれば汗ばむ。岩場には
鉄梯子や鎖を張ってルートは整備されている。アルプスは危険だと
思っている人が意外と多いが、ルールを守れば安全である。

天気が悪ければ登らない。装備に万全を期す。無理はしない。岩場
の登り方は三点確保を守る。僕は午前登山を心掛けている。予期し
ないアクシデントに見舞われても、午後の余裕を残したい。

今日も8時には北穂高岳山頂に立てる余裕の時間配分である。太腿
に負担を与えたが、3分遅れで山頂に立った。ここは北アルプス最
高の展望地である。360度の大パノラマに富士山も鎮座。

山頂の北穂小屋テラスで絶景を楽しみながらドリップコーヒーを嗜
む。ポケット瓶のウイスキーを垂らしてアイリッシュが腹に温かく
しみる心地良さ。2人は始めての北穂に、疲れを忘れて感動。

山は下りの事故が多い。慎重に下りるよう念を押して腰を上げる。
ひたすら下る。膝が痛い。最後の岩場に架かる梯子を降りようとし
たら、下から声がかかる。「先生、おはようございます」。

S君は今朝、上高地から入って北穂日帰りに挑戦とのこと。なんと
彼は、下山ルート途中の本谷沢で我々に追い着き、「先に宿に入っ
ています」とスタスタ去っていった。超人的モウレツ個性である。

我々の2日16時間行程を1日9時間に短縮している。ちなみに、
彼の経営する会社の売上成長性は3年連続150%である。経営は
リードタイム短縮が決め手であることを象徴している。

◆山のひだやは山小屋ルールの旅館である。

山をパスして直接宿に入ったメンバーと、合わせて5人が集結して
夕方6時から宴会が始まった。骨酒予約を忘れていた。岩魚は天日
干しすると香りが良くなる。それでも注文して次回反省点とした。

ここの岩魚は囲炉裏の遠火で2時間近くかけてじっくり焼く。頭か
ら尻尾まで香ばしく食べられる。初めての骨酒に「おいしい」の発
声が飛ぶ。またたく間に注ぎ酒のお代わりで盛り上がった。

この宿は山小屋ルールである。夜は9時に全ての電源が落ち、朝7
時までは懐中電灯が頼りになる。従業員は一切雇わず、親族だけで
身の丈経営に徹している。無理して広告宣伝もしない。

表向きのおもてなしは全て若女将が一人で如才なくこなす。調理場
や裏方仕事は家族が協力してテキパキこなしている。純粋ホテル志
向の人には合わないだろうが、自然愛好家には格別の宿である。

山を知らない一般客は捨てる。不便を良しとする自然を愛する人が
落ち着ける場所を提供する。上高地に相応しい人に、美味と時間の
おもてなしで応える。その人たちだけで経営が成り立つ仕組だ。

これからの経営の、ひとつの方向性を見た思いである。

「来年はどこに登る?」。
僕は70歳になる。お付き合い頂ければ幸いである。



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