山歩きガイド・摺古木山
デジカメ山野草トレッキング
摺古木山の東南稜、天然自然園より中央アルプスを望む。
左奥から木曽駒ヶ岳、宝剣岳、三ノ沢岳、空木岳、南駒ヶ岳、越百山と続く
山名 摺古木山
標高 2168.5m
所在地 長野県
登山日 2002年5月26日
天気 晴れ
メンバー 5名
コースタイム
07:20 東沢林道終点
08:05 砂床ノ沢
08:35 周遊路分岐
09:35 摺古木山/10:00
10:30 天然自然園
11:20 周遊路分岐点
12:00 東沢林道終点
大平宿の朝は冷え込んでいた。昨日陣取った廃村の宿「おおくら屋」は、すきま風が自由に出入りし天井も高いので、時々起きて火種を絶やさないようにと炭を補給しても暖房効果にはほど遠い。空が白みかけるのを見て、寝袋から這い出すが、ブルッと武者震いするほどの寒気である。深酒が一気に抜けるようだ。昨夜の豚汁を温め直していると、寒さに耐えかねた仲間が囲炉裏端に集まってきた。
登山メンバーを5時半に起こし、握り飯と豚汁の朝食後、6時半の出発になった。赤堀さんの四駆に総勢五人で東沢の林道に乗り入れる。道は悪路と表現できる。スピードは出せない。落石も多いようだ。予期しない揺れに、頭をウインドウにぶつける。路肩の下は切れ込んで、はるか下方の清冽な東沢が異様に美しく見える。車の底を打つこと二三回、小一時間で林道終点にたどり着いた。すでに駐車場は埋まっていたが、登り口に突っ込んで何とか駐車スペースを得ることができた。
大平宿から東沢林道終点まで、車で約1時間を見るべきである。慎重な運転が必要であり、事前情報を得ておくといい。
冷気が風に乗って肌を刺す。全員防寒着を身にまとい、歩き始める。新芽の模様が美しいカラマツの樹林帯を登る。この時期の新緑は、目にまぶしいが心地いい。振り返れば船をひっくり返したような恵那山が大きな山容を見せている。しばらく登ると白い花がチラホラ。バイカオウレンが木陰や笹の下から顔を出している。コイワカガミを見つけて、つむぎさんがカメラを構える。イワウチワがひときわ大きく微笑んでいる。この山にも春が訪れたようだ。東沢の左岸を高巻きして作られた登山道は、所々で崩壊して砂地を露出させ滑りやすくしている。そんな露岩にタカネスミレが黄色を点在させている。透き通った水を流す砂床ノ沢を渡って、なだらかな熊笹の道を進むと頭上に赤いベニドウダンが目につくようになる。真紅とは、お世辞にも言えないくすんだ色合いだが、青空とのコントラストが助けている。道は風穴山の西斜面を巻きながら高度を上げていく。樹林に岳樺が混じるようになり視界が開けてくると、右側に大きな岩が現れる。積み上げたような岩をよじ登ると、絶好の見晴台である。伊那谷方面から恵那山にかけての展望が広がっている。記念写真と小休止の後、ふたたび登り始める。シャクナゲの葉が道端を被っているが、残念なことに花を咲かせるには早すぎたようだ。
そんなにキツイ斜面もなく、摺古木山から東南に伸びる尾根筋に出る。正面に中央アルプス、その右に雄大な南アルプスの山々が連なっている。兜のような塩見岳も確認できるが、空は雲に覆われ始めた。ここからまた低い灌木帯に入るが、明るい。3月中旬に名古屋近郊の山麓で見かけたショウジョウバカマが、今ごろ咲いている。2,000mの高地では2ヶ月以上のタイムラグがある。摺古木山頂は日溜まりの中にあった。展望はイマイチだが、樹間から山々を同定することはできる。休憩をとっていると夫婦とおぼしき二人連れが到着。互いに記念写真を撮り合う。空腹感を満たすために非常食のチョコレートとチーズを食べ、山頂に別れを告げた。
山頂直下、天然自然園への登山路を右に逸れると、切れ落ちた岩塊の上に出られる。ここからは残雪の御岳、乗鞍岳から中央アルプスにかけてのパノラマが開けている。摺古木から天然自然園への尾根道は熊笹に覆われ、夏の登山は苦労しそうだ。まだ所々に残雪があり、ルートを紛らわしくしている。明るい熊笹の平らな窪地に、低いシャクナゲの間から身体をのり出して朽ちたシラビソたちが踊っている。不思議な光景で、童話の世界へ飛び込んだような錯覚にとらわれる。天空の眺望もいい。時間があれば、ひとり童心に還って物思いにふけりたいものだ。
摺古木山頂にて。全員集合。
後方は安平路山への縦走路。日溜まりが心地いい、疎らな樹木におおわれた静かな山頂が気に入った。
ここから縦走路と別れて道を左にとり、シャクナゲと熊笹の明るいなだらかな支尾根を下る。道が沢筋を下るようになると、残雪が現れ、沢の水も豊富で流れが速い。手に触れる水は冷たく、口に含む水はおいしい。この山域は水に恵まれているようだ。二三組のパーティと挨拶を交わし、遅れを取り戻す足が速くなるころに分岐点を過ぎ、それからは惰性で声も少なく、駐車場にたどり着いた。通常3時間半の歩程を、休憩、撮影タイムを入れて4時間半。寝不足もあって、少々疲れ気味だが満足の山歩きだった。お付き合い頂いた皆さん、ご苦労様でした。
摺古木山Map

マムシグサ

マムシグサ

オニグルミ

ベニバナイチヤクソウ

スイセン

コヨウラクツツジ

イワウチワ

イワウチワ

タカネスミレ

バイカオウレン

バイカオウレン

ショウジョウバカマ

タンポポ

コマユミ

クルマムグラ

カキドオシ

コマユミ

中山道の廃村・大平宿
大平宿
中山道の宿場町だったが廃村になった。「大平宿をのこす会」があって、整備が進んでいる。まるごと一件の宿を借りることができる。どの宿にも囲炉裏があるので、それなりの風情があり、昔の生活を思い起こしながら親しむことも趣があっていい。宿によって異なるが、電灯、水道は完備している。当たりが良ければ風呂、トイレもある。駐車場から最も遠い藤屋がイチバン、その隣の大蔵屋が二番、その次のおおくら屋が三番です。宿泊は協力金込み、一人当たり2,300円。高いか安いかは考え方次第である。
問い合わせ先
「大平宿をのこす会」アルススポーツ Tel.0265-53-6060
右のヤマメは石田さんの成果。約20cm。一匹のみ。
これを約5人ほどで味わった。本来なら岩魚を天火で一晩干して、骨酒を嗜むはずだったのに・・・
馬刺の95%はカナダ産。
食材を求めて訪れた、飯田駅に近い坂神精肉店のおばさんに言われた。北海道産が多いと言われていた時代はすでに過去。しかし、ここの肉は国産であるという。競走馬の落ち馬を飼育しているという。私が大好きなルイベ霜降り肉もある。これはトロとも言われ、赤身とは別格のとろける味覚がいい。ちなみに赤身が100g500円、トロが100g800円である。
坂神精肉店 飯田市吾妻町15-2 Tel.0265-22-2384 地方発送OK

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