のんびり山歩き・岩村城址、三森山とササユリの里
デジカメ山野草トレッキング
岩村城址・三森山・ササユリの里

2003年6月14日
昨年と同時期にササユリとご対面。足場が悪く小雨模様なので
ササユリの湯、手前にある自生地を訪ねて撮影した。


ピンクの濃いものは避けて撮影したが、パソコンにダウンロードすると、思ったより赤味が強い。
本来、この花は赤味を帯びているのだろう。
写真クリック拡大表示
岩村城址
前夜は東京帰りで遅くなり、久しぶりに週末の朝をゆっくり迎えた。目覚めた窓外はあいにくの雨。ふたたび眠りについたが睡眠は浅く、9時過ぎに床を離れる。外は明るい。雨は降ったり止んだりが続いている。「行こうか?」の合言葉で準備出発。

岩村城址に着いたのがお昼前。城址を歩いていると、城壁の石垣にユキノシタが咲いている。落っこちないように体を乗り出して撮影する。クリック拡大表示。

岩村城は日本三大山城の一つに数えられる名城である。城は天嶮の地形を巧みに利用した要害堅固な山城で、別名、霧ケ城ともよばれている。この城が名城と言われる由縁は、1185年の創築から明治に至り廃城されるまで、連綿と存続したこともそのひとつで、700年間に及ぶ城の歴史は、日本の城史にも例を見ないものである。織田信長の叔母である女城主や森蘭丸等、永い歴史の中で主役を演じた人々の想いを優しく静かに包み込むように佇んでいる。

小雨に濡れてムラサキサギゴケが輝いている。今日は霧ヶ城と呼ぶにふさわしい佇まいだ。深い緑の中にアザミ、ヤブヘビイチゴ、シロツメクサ、ニガナ、ドクダミなどが咲いている。梅雨入り初めての週末は、訪れる人もまばらで、忘れられた時空を堪能する。

駐車場から国道へ戻る細い道が分かれている。左に農村景観地区の指示があり、それをたどると田植えが終わって間もない緑の段々畑と、春花に彩られた農家の、のどかな田園風景を見ながら三森山の登山口に行き着く。

舗装された林道にトラ柵の通行止め。雨の勢いも増してきた。車を降りて少し歩いてみたが、無理をすることもないので、三森山へ登ることをあきらめて山麓の花々を観察することにした。

実に美しいあでやかな花である。MLの問い合わせで早速さるぼぼさんから回答を得た。「狐の手袋」と言うそうで、妖艶な容姿とは裏腹に猛毒の持ち主。ただし、利尿薬として効果がある。

山麓にはヒメウツギ、コアジサイの低木が白い小花を咲かせ、真っ赤なヤブヘビイチゴが路端に、目高位置の小枝にはモミジイチゴがたわわに実っている。一房ちぎって口にする。甘い。いっときはジャム作りに精を出した奥様に問いかけるが、摘み取って帰るほどの価値もないようで、反応が鈍い。

アザミ、ドクダミ、シロツメグサなど里山の春の花が目につく。
キク科の白い花も多いが、左の花の群生を薄暗い林間に見つけた。単純な花ほど同定が難しい。
雨足が激しくなってきたので、再度岩村城址の分岐まで戻り、次の目的に向かう。国道は岩村の街並みに並行して走る。岩村醸造の屋根が目に入ったが、誘惑を打ち消して、明智経由で串原村へ向かう。

往路は中央道で恵那ICで降り、阿木川ダム経由で岩村に入り、帰路は地道で愛知県へ戻る。串原村はその県境、岐阜県側にある。ここは知る人ぞ知る、の辺境だが、去年「ささゆりの湯」が出来てからは訪れる人が多くなった。明智から入ると、この温泉へ行く手前右側に「ササユリの自生地」がある。今日も、散策路沿いに30株ほどが咲いていた。去年、知人に案内された農家の裏山ほどではないが、今日は足場も悪く雨模様なので、整備されたこの森の散策路で撮影に腐心した。
この花は梅雨を待って咲き始めるようである。
薄暗い森の中に、寄り添うことなく、一人ひとりが雪肌の顔を恥じらい色に染めて、遠慮勝ちに生を主張している。妻との会話は一言もない。それぞれにカメラを構え、それぞれの相手とご対面。ほかっておけば、いつまででも立とうとしない妻に声を掛ける。
「そろそろ帰ろうか」。すでに30分は過ぎている。その間、他に訪れる人もいなかった。


山歩記のトップへ 愛知周辺へ戻る