木曽川の故郷・水木沢天然林

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この・・・ひとしずくが 川となり 大地をうるおし 生命をつくる


枯れ枝の先にも 小さな命が宿る ふるさとの森
(長野県木祖村・木曽川源流水木沢天然林)


2005年7月2日 深い森に訪れる 遅い春
見逃しそうな 小さな命が 木漏れ日に微笑む
真っ白い産毛のツルアリドオシ 若葉色の造形が興味津々のキソチドリ



火の木 桧 檜 ヒノキ
昔の人は この木を擦り合わせて火を起こしたという 火の木
ヒノキは一年に1ミリほどしか太らない
100才 200才 300才のヒノキが直立する
まだまだ青年の 木肌は若い

天ぷらに珍重される旬の山菜 コシアブラ その巨木にびっくり
漉し油を作って塗料にしたからコシアブラ

木祖の村木 トチノキは 栃餅や民芸家具として愛された
ヒノキの仲間は根っ子が元気 550才の大サワラ ネズコ
腐葉で肥沃な大地を作った新緑のまぶしいブナ
ミズナラ ウラジロモミ ヤマハンノキ

みどり豊かな自然林の中を歩く 急がず ゆっくり
染まるように 滲みるように


水と森のふるさとは 命のふるさと
森を守る人たちに感謝


森と自然を守る人たち

木曽川の故郷 水木沢天然林
みずきさわてんねんりん 木曽川源流 長野県木祖村


愛・地球博 市民放送局
森と自然を守る人たち-6

2005年7月2日
長野県木祖村水木沢

取材相手/清水 勝さん(72才)
取材担当/長山 伸作



フィトンチッドとは
フィトンチッド普及センター
http://www.phyton-cide.org/

サイトからの引用文
森林には神秘的で不思議な力があります。

例えば『森林浴』。ストレスをやわらげて、身も心もリフレッシュさせる森林浴の爽快感は、みなさんもよくご存じですね?休日には都会の喧騒を逃れ、自然の緑を求めてハイキングなどに出かける方も多いと思います。緑にあふれた森林のなかに入って行くと爽やかな空気が広がり、しばらく歩いているとかすかな香りに気がつくと思います。 この森林浴効果をもたらす森林の香りの正体が『フィトンチッド』。森林の植物、主に樹木が自分で作りだして発散する揮発性物質で、その主な成分はテルペン類と呼ばれる有機化合物です。この揮散している状態のテルペン類を人間が浴びることを森林浴と言うわけです。

森林浴も最近では、日光浴や海水浴と並んでわたしたちの暮らしのなかにしっかり定着したようです。健康づくりには欠かせない存在ですね。
フィトンチッドはからだをリフレッシュさせるだけではありません。抗菌、防虫、消臭などのさまざまな働きがあり、フィトンチッドを上手に利用することによって、わたしたちの生活を健康的で豊かなものにしてくれます。
たかが木の香りとはあなどれません。森林や木には、神秘的で不思議な力が隠されているからです。それは『森林の精気』と言い換えてもよいでしょう。

フィトンチッドの含有量比較
トドマツ 7.6
ヒノキ  3.8
スギ   2.9
ヒバ   1.3
モミ   0.9
 県道から別れて水木沢の林道を走っていたら、軽トラックとすれ違った。見覚えのある顔。

郷土の森の駐車場に着いて山靴に履き替えていたら、軽トラックが戻ってきた。懐かしい顔は清水勝さん。この森の管理人である。
「昨年は太古の森を歩いたから、今日は原始の森を歩いてみたい」と話しかけたら、一緒に歩きましょうとのこと。管理棟にある熊除けの鈴を借りて歩き始める。源流の沢音がうるさい。昨夜は久しぶりの豪雨と雷に見舞われたようで、水不足には朗報だが、凄まじい勢いだったと話してくれた。その沢にかけられた木橋を渡り、整備された木道を登る。

清水さんは木祖生まれで、5年前から水木沢を管理している。この辺りも日本三大美林の産地。青森ヒバ、秋田スギ、そしてもうひとつが木曽ヒノキである。ご存知の通り、伊勢神宮の遷宮に使われる御神木は、木曽から切り出されている。ヒノキの成長はスギより遅く、二代かけて育てないと使い物にならない。ましてや御神木ともなれば、百年、二百年の年代ものが選ばれている。木曽谷では上松の赤沢自然休養林が有名だが、ここの天然ヒノキも立派なものが多い。

自然林とは言え、人の管理がなされないと荒れ放題になり、人を寄せ付けなくなる。清水さん達は植物の共生のために、強靱な根で縄張りを強引に広げる笹を刈ったり、低木や野草の成長を助けるために大樹の枝打ちで太陽照度を管理している。すでに山道沿いの下草も刈られ、その下から野草が顔を出している。ここには移植した野草はないが、人の管理があってこそ、か弱い野草も育ってくる。

水場の竹筒が、昨夜の豪雨で土砂が詰まっている。水の通りをよくして、さらに登ると尾根筋に出た。真新しい木製のベンチがふたつ作られている。仲間も一緒に腰を下ろして、森の話は続く。分水嶺の反対斜面はヒノキの植林帯になっている。「まだまだ60年です。去年間伐しました。」
木祖の森は幸せだと思う。建築に高価な国産材を使わなくなったため、間伐もされず、枝打ちもされない森の多いことを考えれば・・・。
「この先に展望台があるから、行ってきなさい。」
清水さんは、ベンチの横で道標を立て始めた。お仕事の始まりである。

私たちは展望台まで登り、生憎の曇り空の下でしばし休み、引き返して原始の森周回路をたどって駐車場に戻った。一周1キロを、のんびり2時間かけて楽しんだ。すでに管理棟に戻っていた清水さんが、お茶を入れてくれた。お茶菓子までよばれ、マムシ酒の作り方や熊の話し、寒い冬のカンジキ見回りの話などなど。


木祖水木沢は木曽川の源流であり、この森が水を蓄え、豊富なミネラルと共に木曽川流域を潤い、たくさんの支沢を集めて伊勢湾に流れ込む。3大都市圏のひとつ、名古屋は木曽川無くして生きてはいけない。この大切な水の調節機能を司る森林の存在が疎かになっている。
都会人に言いたい。この恩恵の源を訪ねて、何を思うか。何がなせるか。

愛・地球博は環境万博とも言われます。テーマである自然の叡智は、市民一人ひとりの知恵を集めて結晶させることだと考えています。愛・地球博を起点に、エコマナーが芽吹くこと、根付くことを願っています。


木曽川源流の森に咲く花へ 


【不法投棄への強い抗議】
不要になった家財をわざわざ林道へ持ち込み、沢へ不法投棄する哀れな人がいます。これを排除する苦労を考えて下さい。子孫への災いを考えて下さい。



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