7月上旬
硫黄岳 八ヶ岳
No.005



難度 健脚向き
歩程 約7時間
場所 長野県・茅野
アクセス 中央道・諏訪インター
駐車場/桜平駐車場 30台程度


ウルップソウとハクサンイチゲ・チョウノスケソウ・クロユリ・ミヤマシオガマ

コマクサ・イワベンケイ・キバナシャクナゲ・イワヒゲ・イワカガミ・イワウメ


● 野山の花は愛でるもの けっして摘まないで下さい ●


硫黄岳八ヶ岳
桜平から硫黄岳周回
適期 6月下旬・7月上旬

6月になると、目が離せないのが八ヶ岳稜線です。硫黄岳山荘から横岳稜線には日本でも珍しい高山植物が咲く。初旬から中旬にかけて咲くツクモグサの命は短く、代わってチョウノスケソウが咲き始めると、花の季節が到来する。この命も短く、ウルップソウにバトンタッチされる。この高山植物は、ここ八ヶ岳と白馬岳だけに存在する貴重種だが、麓からのアプローチが長いため、健脚な登山者だけに許される深窓の美女ご対面。最も短いルートが、ここに紹介する桜平から硫黄岳越えの3時間半です。休憩時間と観察時間を計算に入れると、全行程8時間は必要になります。

泊まりを考えるなら硫黄岳山荘がベストでしょう。山荘東斜面で高山植物を保護しています。時期の花が一通り観察できます。温泉好きの人なら、美濃戸から赤岳鉱泉に前泊し、早朝発ちで赤沢の頭からピストンするのもいいでしょう。麓の林床にイチヨウランを見つけることもあります。



夏沢峠手前のシラビソの森


八ヶ岳の主稜線
硫黄岳より
桜平へは早めに着きたい。駐車場の広さに限界があるため、早朝6時までに入るべきでしょう。茅野市街から三井の森のゴルフ場を通り過ぎると、唐沢鉱泉との分岐に出る。ここを右に折れて鳴岩川沿いに、悪路の林道を遡る。慎重に運転したい。

桜平から夏沢鉱泉までは沢沿いの林道を歩く。雪解けのけたたましい水音がうるさいくらい谷間に響く。歩き始めとはいえ、林道の傾斜は以外ときつい。坦々と早朝の山道を登り続ける。静かな夏沢鉱泉を横目に足を稼ぐ。様相が北八ヶ岳の森に変わる頃、オーレン小屋に着く。天狗岳や硫黄岳に登る登山者のベースになっているため、泊まり客は多く、朝から賑やかである。沢を渡れば峰ノ松目山腹を巻いて赤沢の頭へ向かう。左のルートが夏沢峠へ向かう。森は深く、朝日が梢を縫って射し込んでくる。清々しい森林浴の山路は長くは続かず、峠は近い。

夏沢峠に立つと、浅間山や秩父の山々が朝日に輝く。佐久の山里は眠っている。山の出湯、本沢温泉はどの辺りか。稲子湯は? この峠には二つの山小屋があり、泊まり客はほとんど出発して静かさが戻っている。ここからの登りは本物になる。1時間強のキツイ体力勝負になる。森林限界を抜けると、ほてった身体を爽風がなぐさめてくれる。左側は硫黄岳の噴火口が大きくえぐれ、不気味である。火山活動の凄さが解る。霧の深い日は気をつけたい。大きなケルンが一定間隔で作られているので、目印に確認しながら慎重に登りたい。急傾斜の岩場が続き、山頂の贋ケルンに二三回騙されると、本当の山頂に着く。だだっ広いガレた岩場の真ん中にケルンと道標がある。その向こうに八ヶ岳の主峰、横岳、赤岳、阿弥陀岳が居並ぶ。壮観な眺めである。

今日の目的は横岳稜線の高山植物。一旦、硫黄岳山荘まで下るが、ガスで視界が悪いときは、注意したい。ゆめゆめ硫黄岳の爆裂口に飛び込まないこと。危険防止用の虎ロープが張ってあるが、注意してほしい。山荘近くから可愛い野草が顔を出し始める。ここから大同心、小同心上部の横岳稜線沿いに高山植物が群生している。気の済むまでご対面してほしい。帰路は硫黄岳まで戻り、西南の岩場伝いに赤沢の頭に出る。イワウメの群落が見事だ。赤岳鉱泉の赤い屋根が南の足下に見えるが、オーレン小屋は西にルートを取り、峰ノ松目の北山腹を一気に下っていく。足が笑う頃には往路に戻れる。



参考サイト
八ヶ岳観光協会

  ツクモグサとオヤマノエンドウ

僕の記録
●2005年6月05日 桜平から硫黄岳・ツクモグサの季節
●2004年6月26日 美濃戸から硫黄岳へ
●2004年6月27日 横岳稜線から赤岳へ
●2002年8月11日 真夏の硫黄岳周回


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