7月下旬 白馬岳
No.006



難度 健脚向き・一泊二日
歩程 周回約12時間
場所 後立山連峰・長野県
アクセス 長野道豊科インター
国道148号北上信濃森上経由
駐車場/栂池ゴンドラ山麓駅。
帰路は猿倉からタクシー利用。
約4000円

ワタスゲ・キヌガサソウ・タテヤマリンドウ・ハクサンシャクナゲ・コマクサ・ハクサンコザクラ

イワギキョウ・ウルップソウ・ハクサンイチゲ・ハクサンチドリ・テガタチドリ・タカネシュロソウ・ヨツバシオガマ


● 野山の花は愛でるもの けっして摘まないで下さい ●


栂池高原の山麓から望む白馬連峰
白馬岳は2932mの高山です。北アルプスでも後立山連峰に属し、その中でも最も北に位置する日本海に近い山です。夏とはいえ残雪も豊富なので、装備は万全を期して下さい。
【白馬岳】 夏の適期 7月下旬

花の白馬岳と言われるほど、山野草愛好家に親しまれています。高山植物の宝庫と呼ばれるにふさわしい群落は7月に咲き乱れ、ハイシーズンは梅雨明けです。標高3000mに近い稜線を歩くため、初心者だけの登山は危険です。山慣れた人のガイドが必要です。夏とはいえ、天候によっては朝の冷え込みが厳しくなります。防寒対策と雪渓での軽アイゼンは必携です。足に自信がない人は、無理をしないようにお願いします。
  ワタスゲ 左/栂池自然園・右/天狗原

登山計画一例
第1日
07:00 栂池ゴンドラ山麓駅 片道1720円
08:00 栂池自然園 入園料大人300円
12:00 昼食後、白馬大池へ
13:20 天狗原
16:00 大池山荘 泊まり
第2日
06:00 出発
10:00 白馬岳/昼食11:00
15:30 猿倉
行程には余裕を持って下さい。高山植物の観察や写真撮影には、思いの外時間を費やします。
自然保護の観点から、ルートには保護ロープが張られています。絶対に入らないようにして下さい。貴重な植生が多く、中には絶滅危惧種もあります。自然を愛する人として、山歩きのマナーをお守り下さい。山歩きは登り優先で道を譲りますが、ここは団体が多く混雑します。列が連なるときは、場合によって下り優先の配慮もお願いします。



雪倉岳の日没。白馬大池にて


小小蓮華山ルートから白馬岳を望む


白馬大池の朝



参考サイト
栂池自然園
小谷村の観光
僕の山行記録詳細

一般的には猿倉から大雪渓を登って白馬岳の山小屋に泊まりますが、せっかく一泊するのなら、栂池自然園も見学できる欲張りなルートを紹介しましょう。おまけにゴンドラ利用で標高を稼ぐラクチンルートです。ただし、ハイシーズンの山小屋はどこも超満員です。週末は一畳3人の過密状態を覚悟して下さい。寝返り不可能です。夜中にトイレに立つと、戻ってからの寝場所確保に苦労します。脅かしてスミマセン。

初日はゴンドラの始発に合わせて栂池に着くことです。夏場は7時から運転しますが、人出によって繰り上げます。早めについて順番に並んで下さい。ゴンドラからロープウエイに乗り継いで栂池自然園まで、途中の徒歩も計算すると約40分。早めについて、午前中は栂池自然園を散策します。花のガイドブックを買うと何かと便利です。センターハウスに今咲いている花が掲示されています。散策前にチェックして下さい。正午までに昼食を済ませ、遅れないように後の行程を守って下さい。白馬大池は近いようで遠い。余裕を持って下さい。

センターハウス横から、天狗原ルートへ入ります。登りはそれほどきつくもなく、高山植物を観察しながら歩きます。標高2000mのこの山域は高山帯であり、低灌木の林下にはツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、アカモノ、テングクワガタ、カラマツソウなどが咲いています。徐々に樹木は低くなり、道が緩やかになると天狗原に着きます。ここは別天地。湿地帯の池塘にワタスゲが群舞。タテヤマリンドウ、ハクサンコザクラも咲き乱れています。ここから少し登ると雪田にぶつかります。夏でも豊富です。傾斜があるので、危険だと思ったら軽アイゼンを装着して下さい。乗鞍岳はハクサンシャクナゲが密集しています。時期的に白い花を咲かせているはずです。シャクナゲの樹間に雷鳥の歩き回る姿を見つけることもあります。ここを登り終えれば白馬大池を眼下に見ることができ、青い池を回り込んでハクサンコザクラの間を縫って山荘到着。早めに着けたなら、小蓮華尾根を少し登って下さい。コマクサの群生地があります。その向こうに雪倉岳、朝日岳が横たわり、太陽はその肩に荘厳に落ちていきます。
 
左/早朝の小蓮華尾根を登る。右/三国境付近の稜線

山の朝は早い。花の道草を考慮するなら、できれば4時に朝食を食べ5時には出発したい。期待を裏切らない高山植物が待っています。小蓮華尾根から三国境、白馬岳まで、ダラダラの4時間近いルートは確かに疲れますが、その疲れを忘れさせる景観が待っています。ハクサンコザクラに始まり、コマクサ群落、イワギキョウ、チシマギキョウ、ハクサンチドリ、テガタチドリ、タカネシュロソウ、ヨツバシオガマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、チングルマ、ウルップソウなどなど高山植物の絵巻物がルートに展開します。白馬連峰も梅雨明け10日は高い晴天確率に思うままの展望です。天上の楽園を堪能して下さい。

三国境は右を巻くようにガレ場をトラバースします。右から雪倉岳ルートを合わせ、斜面はコマクサの群生地ですが、ロープ柵を越えないで下さい。ガレた急斜面は危険です。自生のコマクサは貴重な存在です。大切にしましょう。ここまで来ると白馬岳は近い。右、黒部渓谷越しに剣岳、立山が白く連なっています。大景観を楽しみながら山頂を目指します。山頂の展望は遮るものがない360度。早めに昼食を取り、山頂の雰囲気を十二分に味わって下さい。後は下りだけです。

白馬山荘か、その下の頂上宿舎でトイレを済ませて下さい。後は膝が痛くなる下りの連続です。大雪渓は万年雪です。上部は傾斜がきついので、必ずアイゼンを装着して下さい。急傾斜のトラバース個所は、バランスを崩さないよう慎重に足を運んで下さい。雪渓はルートを外さないことです。興味本位でルートを外すと、縁ではクレバスに落ち込む危険があります。この谷は急峻で地層も脆いため、落石が多く、常に雪崩れています。雪渓上の落石を確認しつつ、危険個所では上に注意を払いながら速やかに下ることです。白馬尻小屋下部は特に危険で、しばしば遭難事故が起きています。気を抜かないよう注意して歩いて下さい。

早めに下山できたら、麓の山野草も楽しめます。猿倉までの沿道には、サンカヨウ、シラネアオイ、キヌガサソウなどが咲いています。探し出すとキリがないほど恵まれた山域です。猿倉にはタクシーが待機しているので、栂池まで利用します。4人で乗れば、割り勘1千円程度でしょう。計画は綿密に、楽しい山旅を楽しんで下さい。





このルートで見かける山野草たち


チングルマ・タカネシオガマ・ハクサンフウロ・ミヤマオダマキ・ミヤマクワガタ・アカモノ・サンカヨウ・イワイチョウ・イワカガミ

シナノキンバイ・オオバミゾホオズキ・アズマギク・カラマツソウ・ミツバオウレン・ミヤマコゴメグサ・クルマユリ・ゼンテイカ


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