中小企業の経営戦略キーワード
SWOT分析は賢い企業を育て
る
間違いだらけの指導法
中小企業診断士の先生が、まことしやかにSWOT分析シートを配って「四つの枠を埋めて下さい」という光景を見る。こんなやり方で結果が出る訳がない。机上論で実践を踏んでいないことを物語っている。外部環境を洗い出し、整理した機会・脅威を念頭に、内部環境の強み・弱みを考えなければ焦点が定まらないし結果が見えない。
SWOT分析とは
Strength, Weakness, Opportunity, Threat の頭文字を組み合わせた短縮語。経営戦略を検討するときは、自社の内部状況と自社を取り巻く外部環境を正しく分析することが大切。企業の強み、弱み、機会、脅威の全体的な評価をSWOT分析という。
下表のようにSWOT分析と3Cミクロ環境を並べてみると分りやすくなる。中小企業の場合は、ほとんど3Cの顧客・競合・自社の三角関係で対比すると、答えが導きやすくなる。戦略を立てる時は、まずは顧客情報、競合情報を収集して、自社の強みになる経営資源を更に差別化して顧客のシェアを高める。一般的には、弱みで競合に勝つことは至難である。弱みを気づかれない策が必要になる。
環境
SWOT分析
3Cミクロ環境
内部環境
S
Strength
強み
Company
自社
顧客満足
差別化ウオンツ
W
Weakness
弱み
外部環境
O
Opportunity
機会
Customer
Competitor
顧客
競合
ニーズ
シーズ
T
Threat
脅威
◆SWOTコトハジメ
長年、経営を続けていると、事業ドメイン(領域)が拡散して見えにくくなってくる。ドメインを明確にするためにSWOT分析は有効である。現場主義に疎い社長は全社的にデータを収集して分析したい。
◆クロス分析の決め手
SWOT分析のコトハジメは自社実力の把握
常に現場に細心の注意を払っている社長なら、自分ひとりでカンタンに試すことはできる。ただし、固定観念や先入観が強いと、同じことの堂々巡りで何ら変化は見えてこない。客観的に、外から眺めることが大切である。
始めてSWOT分析を試みるときは、経営者自ら右図のミクロ3C環境の狭い範囲で試してみる。理解できたら、全社員に説明してSWOT情報を収集する。
◆ミクロ3C環境
自社の環境をミクロ3Cの範囲で考察
顧客 Customer ニーズ(需要)
競合 Competitor シーズ(技術)
自社 Company ウオンツ(差別化)
の三角関係で比較しながら分析する。
※ヒアリングシートを用意して顧客から直接情報を入手することが最も確実である。
同時に競合情報も比較問合せで確認できる。自社実力を把握したい。
◆自社の問題点を全社員に問い掛ける
顧客情報、競合情報を集約整理してO(機会)、T(脅威)を社員に理解させてから提案メモを配布する。提案メモ一枚に1提案で1人10提案(問題点)させる。これを整理集約すると、自社のポジションが把握できる。
1.顧客、競合の外部OT情報収集。 外部OT情報と比較しながら、
2.自社の内部SW情報を洗い出す。 内部SW情報を把握し、課題を見つけ
3.自社の強み・弱みの対策を打つ
経営に関する社員の意識改革に、SWOT分析は有効である。社員参加で全社的に実施すると、集約に時間がかかるが、問題意識が共有できる。
◆KJ法で整理集約
問題意識付けと社内改革のために、社員に整理集約させる
提案メモが集まったら、社員に集約させる。この一連の方法をKJ法という。整理のフレームワークとしては、一般的には人、モノ、金、情報、その他で分類する。BSCのフレームワークで、財務、顧客、業務、人材で分類することもできる。
壁面やボードを利用して一枚ずつ貼っていく。同じ提案メモは重ね、類似するものは隣りに貼る。意味不明なものは、提案者から説明を求める。一案たりとも無効排除してはならない。同じような提案は、包括する文章に書き替えて一案とする。
エクセルリストを作成して、提案に優先順位をつける。プライオリティの高いものから課題を見つけ、解決策を打ち出す。この方法でやるべきことが決まる。
◆カイゼン提案制度
弱み(W)をカイゼンする戦略
社員からの提案は要望も含め、弱み(W)のオンパレードになる。
始めて提案を試みると「経理公開しないので、景気の悪さが判断できない」「古いパソコンでは業務がはかどらない」「人事考課や賃金制度が分かりづらい」「休憩室にベッドがほしい」「有給休暇を自由に取りたい」「出勤時間を遅くしてほしい」「給料がたくさんほしい」「早く帰れない」「デスク回りがきたない」「あいさつしない」「職場の雰囲気が暗い」など等素朴である。
これらを幼稚な提案と一笑に付す行為は間違いである。社員に解決策を出させるべきだ。一度に全部は無理なので、優先順位をつけてひとつずつ採り上げる。それをPDCAしながら改善していく。成果が出たら表彰する。
提案⇒採否⇒PDCA⇒検証⇒四半期表彰。すべては時間が解決してくれる。
◆SWOTクロス分析
SWOT分析は、内外環境のクロス分析で解を求める
SWOT分析から戦略を求める場合は単純にふたつの方法がある。
1.守りの戦略
T(脅威)⇒W(弱み)
の改善
2.攻めの戦略
O(機会)⇒S(強み)
の差別化
目的もなく一度にSWOTを洗い出すと混乱する。守るか攻めるかで、外部環境と内部環境をひとつずつクロスさせれば回答は速い。守るだけでは会社の発展はない。いかに攻めるかの戦略を考えたい。
◆究極の戦略経営は、
O(機会)⇒S(強み)
の差別化
外部環境のO(機会)を見出し、それにマッチングする内部環境のS(強み)をクロスさせて差別化深耕すること。攻めの戦略が企業発展のパワーとなる。
戦略の意思決定前に、
T(脅威)⇒W(弱み)で検証することを忘れないこと。
外部環境とは
外部環境分析とは、企業が利益をあげる能力に影響を与えるマクロ環境要因とミクロ環境要因の変化を観察し、機会と脅威を見極めること。
◆
3C ミクロ環境要因
Customer
顧客
ニーズ、顧客満足度。シェアアップ
Competitor
競合
脅威となるライバルのシーズ。強みの差別化
Company
自社
顧客、競合との三角関係で優位を勝ち取る
◆5Forces ミクロ環境要因
新規参入
新規参入は5%
ライバル
地域の境界を越えるインターネットボーダーレス
代替品の脅威
技術革新がもたらす他業界からの進出
売り手の圧力
外注仕入の値上げ圧力。業者が少ないと強くなる
買い手の圧力
顧客からの値下げ圧力。競合が多いと強くなる
◆PEST マクロ環境要因
P
Politics
政治・法律…法改正や省庁の施策
E
Economy
経済情勢…業界景況やグローバル化による海外の変化
S
Society
社会・文化…少子高齢化、人口減少、個性の多様化
T
Technology
技術革新…日進月歩の変化や環境技術へのシフト
これらのフレームワークを使って、機会と脅威を洗い出して分析する。
始めて試みるときは、ミクロの3C環境要因から取り掛かると理解しやすい。情報収集は、しっかり理解してからやること。収集する人が理解していないと、集めた情報の整理に苦労するだけでなく、結果の出ないものになる。
内部環境とは
内部環境分析とは、外部環境の機会や脅威に対して自社の強み・弱みを洗い出し、客観的に評価して課題を抽出する。課題の問題解決が戦略の成功要因になる。この成功要因の中から選択・差別化・集中で検証し、最重要成功要因を戦略化して中期経営計画を策定する。
SWOT分析によって自社の実力を把握し、事業の目標設定や戦略立案、中期経営計画の策定が可能となる。
初心者のSWOT分析
SWOT分析の入門編
TOWS-3C分析はスグレモノ
SWOTを逆読みしてTOWS(トォウズ)にする
SWOT分析のプロセスは逆から進める。3Cの顧客・競合外部環境情報を始めに収集して整理集約し、それをもとに内部環境の強み・弱みを洗い出す。
大切なことは、外部環境に精通した人が情報収集すること。管理者以上でそれを分析整理してリストを作り全社員に説明する。社員は現場の問題点を強み・弱みとして1枚1題をメモ書きして各社員10枚程度提出させる。それを整理集約する。ヒト・モノ・カネ・情報などに分類すると明確になる。
上図に示す通り3Cの三角関係でミクロな業界環境を俯瞰する。顧客・競合に比べて自社の強み・弱みが何であるかを特定することが「現状の把握」。そこに課題を見つけて成功要因を引き出す。これが入門編の基本。
更に深く掘り下げる必要があるときは、PESTや5Forces(五つの力)のフレームワークまで外部環境の調査範囲を拡げる。ニッチな市場を求めるためには、更なる細分化で選択と集中に腐心する必要がある。これについては下を参照のこと。
環境
好影響
悪影響
外部環境
●
PEST
マクロ
P. 政治・法律
E. 経済情勢
S. 社会・文化
T. 技術革新
●
5つの力
ミクロ
1. 新規参入
2. 代替品脅威
3. 売り手の圧力
4. 買い手の圧力
5. ライバル
●
3C
ミクロ
1. (競合)
ダブリ
2. 顧客・市場
機会
Opportunity
機会を活かす戦略
脅威
Threat
脅威を回避するか又は挑戦する戦略
一例)
環境対策が重視されている
ネット引き合いが増えている
メーカーの設備投資が増えている
IT社会インフラが整備されてきた
大手中心に景気が好転している
業界ライバルの廃業が多い
エキスポ効果で道路が整備された
産学連携の道が開けた
経産省の中小企業支援策が増えている
人材派遣が利用しやすくなった
ネットでの新規取引が変動費に貢献
一例)
海外からの低価格商品が流入
値下げ圧力が強まっている
ゼロ在庫、短納期要請が多い
人材確保が難しい
国家予算の縮小で公共事業が減少
技術革新が速すぎて追いつけない
石油の枯渇懸念で材料費が高騰
海外ライバルの進出
他業界からの代替製品が安い
協力会社の値上げ申請が多い
規制緩和で新規参入者が増えている
内部環境
人・モノ・金・情報・
技術・時間・環境など
●
BSC四つの視点
財務の視点
顧客の視点
業務プロセスの視点
学習と成長の視点
強み
Strength
強みを活かす戦略
弱み
Weakness
弱みを改善する戦略
一例)
商品開発力が高く速い
豊富な技術人材と高い能力
品質に、高い評価を得ている
社員のモチベーションが高い
一例)
提案営業や企画力が低い
売上が伸び悩んでいる
粗利率が下がっている
労働環境が悪化している。
◆
一歩ずつ変革し、業績をよくするエクセル書式集・短編30シリーズ
◆クロス分析の決め手
文書化から変革が始まる
経営理念、ビジョン、SWOT現状分析、戦略方針、活動指針、中期経営計画、目標管理表など、30の作り方事例とエクセル書式を網羅しました。必要なものから順次スピーディに文章化できるスグレモノです。
●
日本の中小企業を応援する思い切った価格設定を決断。
事例に沿って1編ずつ文書化できる。
作り方の解説、事例(サンプル)、作成用テンプレートの3点セット
カンタン有能な短編全30シリーズ
1エクセルファイル(シリーズ)
1,050円
(税込)
⇒⇒
短編30シリーズ詳細ページへ
戦略スキルを一枚に収録
分かりやすく解説しました
新時代経営の道標
2008.9.21創刊
↓ 画像クリック↓
A4バインダー160ページ
電子出版CD-ROM
セット価格31,500円
困難の時代に何をなすべきかの回答─────────────
戦略→計画→行動→目標管理の循環
が成功に導く
■経営者必携の書・新時代の成長経営【総集編】
31,500円
経営戦略・中期経営計画策定&目標管理業務マニュアル
特徴
1・パワーポイント版はプロジェクターによる研修に最適
2.エクセル版書式集はそのまま記入すればA4で印刷できる
3.豊富な事例(サンプル)でスピーディに経営計画を策定
10年間の講演、研修で使った資料を分かりやすくまとめて凝縮した経営者必携の書。160ページのA4バインダーに成長エキスを書きまとめました。CD-ROMには研修用パワーポイント(PPT)と経営戦略・中期経営計画作成用エクセル(EXCEL)書式を収録。困難な時代に活路を拓く経営者・管理者必携の
オールインワン保存版
1. 本編
1.はじめに。2.リーダーの統率力。3.進化させるPDCA循環。4.経営理念。5.SWOT−3C自社分析と成功要因。事業ドメインの定義。6.経営戦略。戦略の定石3Sから展開する三つの成長戦略。7.リスク管理の戦略検証。8.中期経営計画の見える化資料作成。9.中期経営計画発表会
2. 財務編
1.カンタンに理解する決算書。2.経営指標で財務を分析する。3.損益分岐点から目標値を設定する
3. 用語編
経営戦略用語の解説集
4. 書式編
A4サイズ各種エクセル書式集。週報・経営指針・中期経営計画
5. 速習編
1.1日で作る経営戦略。2.1日で作る1ページの経営指針
A4バインダー160ページ。電子盤CD-ROM(Powerpoint-2003,Excel-2003)
★→
詳細ページへ
経営戦略塾
東京・名古屋・大阪開催
関東、関西からでも日帰り可能な名古屋1日研修
●たった1日で中期経営計画を作り上げる研修
始めて体験する人でも、8割の人が完成させて帰ります。A4版3枚で見える化し成長経営を目標管理する全く新しい経営手法を指導します。
●SWOT志向が戦略アイデアの入口です。企業が抱える諸問題を解決に導く戦略塾を毎週開催しています。強みのクロス分析から売上アップ戦略を導き出し、スピーディに経営計画に落とし込み、実行計画を立てます。
●経営者、管理者の人脈交流が新たな事業創出のヒントにもなります。
→●
経営戦略塾&1日で作り上げる中期経営計画研修
●分析プロジェクト立上げ・経営戦略室の構築・計画目標管理組織の構築など、出張指導も受けています。長山までお気軽にお電話ください。
(株)サイコーポレーション Tel.052-859-2812
経営戦略ノウハウを毎週無料でお届けします
未来を勝ち取る攻めの経営戦略・水曜メールマガジンをご購読ください
メルマガ購読者には各種ソフトがダウンロードできます
騙され納得、儲ける経営戦略(
マガジンID:0000143069
)
メールアドレス
バックナンバー閲覧
SWOT分析を活かした経営戦略・経営計画の導入方法
トップにもどる
Copyright 2008 Shin Nagayama All rights reserved