中部大学サハリン第二次植物調査隊
No.5 73日 サハリン植物園・黒川湿原

黒川湿原
クリック拡大表

泥炭層の湿地に若いグイマツが育っている。ワタスゲが風にゆれている。


黒川湿原の花々

カキツバタ

エゾゴゼンタチバナ・ツマトリソウ・ツルコケモモ・ヒオウギアヤメ

ナガバノモウセンゴケとカラフトイソツツジ

イチヤクソウの仲間・ヤナギトラノオ・オオタカネバラ


サハリン植物園



トウダイグサ科・リンネソウ・キンロバイ・オニゲシ・ヘビノボラズの仲間

園内のオダマキ各種


◆行程 7月3日
天気 晴れ
行程 サハリン植物園〜
黒川湿原
09:30 ホテル出発
10:00 サハリン植物園
12:30 黒川湿原
17:40 ホテル着

クリック拡大表示
植物園でアルバイトをする若い女性たち。まだ高校生程度の年齢でしょう。ロシア女性は結婚後か、30歳以上なると、なぜか太っている人が多い。しかし、若い人たちはスタイルもいいし美人揃いである。

ホテル、レストラン、お店で対応する人たちの接客態度はかなり悪い。共産圏特有の姿が残っている。中国も10年前は同様だった。話が通じるようになると、理解されると途端に態度が軟化する民族性があるようだ。
今日は10時にサハリン植物園のディレクター取材アポが取れている。いつもより遅めの9時半出発で植物園には10時前にに着いた。一般には公開されていない研究施設のようである。仲介役の旅行代理店スタッフが出迎えてくれたが、様子がおかしい。当のディレクターが不在だという。植物園のスタッフは事情が分かっていないので、許可する訳にもいかずゲートの中には入れてくれない。外国ではよくあることと思いつつ、連絡できることを祈る。

しばらくしてビクトリーさんという部長が門の中に招き入れてくれた。ヤレヤレである。彼は40歳のいかにも学者ハダの人で、笑顔も見せず熱心に説明してくれる。南先生、柴田さんが質問し、それに応えながら園内を案内してくれた。今回の目的のひとつ、アツモリソウも咲いているが、すでに枯れかけている。この花は、サハリンでは採取禁止になっているが、盗掘して売買する人が後を絶たない。別の場所には没収したアツモリソウが無造作にボックスに積み上げられている。ひと株が500ルーブルで売られているという。これでは絶滅するのも時間の問題と言えよう。

左写真/没収されたホテイアツモリソウ。右写真/調査隊の植物観察。

左写真/オニゲシの花。ケシの若い果実から採取される乳液(アヘン)からモルヒネは作られる。
右/事務所前で最後の聞き取り。

1時間半の取材と見学の後、お礼を言って植物園を後にした。今日の仕事はもうひとつ。黒川湿原の植物調査。ユジノサハリンスクから車で約1時間、北に走るとドリンスクに着く。ここから西へ入ると黒川湿原がある。ガイドの勘違いでドリンスク昼食を後回しにされたため、空腹を持ち合わせの非常食で間に合わせから出発。先回は赤い実をつけていたゴゼンタチバナが白花を付けている。花茎が長く伸びているため、柴田さんの同定ではエゾゴゼンタチバナとのこと。ヒオウギアヤメの紫が点在している。ワタスゲも時期を迎えている。困ったことに、パイプラインの敷設工事で掘り返した泥炭層が沼地と化し、20mの巾で湿原が二分されている。渡りやすい個所を見つけて対岸にたどり着いたが、下手をすると膝までズブズブに埋まる。回りにあった工事用角材の端切れを見つけ応急工事。ここを無事に渡ってナガバノモウセンゴケ発見場所にたどり着いた。よく調べてみると、降雨期の流れに沿って生育場所が広がっているようだ。点在する沼池を線で結ぶようにナガバノモウセンゴケを見つけることができた。ルート突き当たりにはカキツバタの群落があり、これも見事な風景になっていた。この日は昼食抜きの強行軍となった。

※虫予防
蚊とダニに注意したい。僕の用意したものは、携帯用蚊取り線香、虫除けスプレー、防虫ウエットティッシュ・かゆみ止め。ウエットティッシュタイプの防虫剤は効果があった。露出する肌部分を拭くだけで、ほぼ一日効果が持続した。耳の回り、首筋、手首、手、顔面を軽く濡らすように拭けばいい。部屋に蚊が侵入する場合が多い。そんなときは蚊取り線香が役に立つ。ダニは始末が悪いので、衣服に防虫スプレーを吹きかけるといい。ダニが衣服に付着していると部屋に持ち込む危険がある。これだけは避けたいので、外で身体全身を叩き、衣服からヨゴレを払い落とす。部屋に入ったら衣服を脱いで洗濯し、バスで身体を丁寧に洗う。

プロローグ名古屋→函館函館→ユジノサハリンスクチェーホフ山チシマザサ峠
植物園・黒川湿原トゥナイチャ湖サハリン→名古屋サハリン植物図鑑


カメラ片手の山歩きへ