サハリン 花の島


中部大学サハリン植物調査隊・プロローグ
2005年8月3日〜10日

トゥナイチャ湖
トゥナイチャ湖周辺の自然


サハリン地図
サハリン全行程マップ

名古屋【中部国際空港・セントレア】から稚内へ

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稚内公園のハマカンザシと氷雪の門

日本から最も近い白人系の外国、それがサハリン(旧樺太)です。
8月3日〜10日まで、我が国植物の北方ルーツを探るために、中部大学と遠征隊を組んで出かけました。集結の北端、稚内で時間を見つけ、丘の上にある稚内公園の「氷雪の門」を訪ねました。

ご存知ないかも知れませんが、日本北端、樺太の終戦は8月20日です。旧真岡(ホルムスク)の電話交換嬢9人の最後は、
「皆さん これが最後です さようなら さようなら」
の言葉を残して青酸カリにより自決しました。「北のひめゆり」の望郷の想いを、揺れるハマカンザシに見る思いでした。戦後60年の節目にサハリンに渡る。空路を採るか航路を採るか迷ったが、稚内からの旅立ちは正解だった。望郷の丘に立ち、明日渡る宗谷海峡を眺める。雨上がりの海は雲を映して重い。北の国にしては、異常に蒸し暑い。

8日ホルムスクを訪ねる前に、真岡峠(チシマザサ峠)を越えた。そこにはロシアの戦勝記念碑があり、近くに砲弾の爪痕が生々しいトーチカが、なびく笹原にコンクリート塊として何かを語りかけているように思えた。日本びいきのガイド、ワシリさんに問いかけてみた。日本では、玉音放送があった8月15日が終戦記念日だが、どう思っているかを。彼は両手を広げて「分かりません」。言いたくない態度に、彼の良心がうかがえた。勝っても負けても、戦争という行為で得することの絶対ないことを悟りたいものである。



北国の丘にキンロバイが植え込まれ、散策路にはウツボグサなどの野草も見られる


インデックス リンク
2005 8
No.1 03日 名古屋→稚内
No.2 04日 稚内→サハリン
No.3 05日 黒川湿原
No.4 06日 トゥナイチャ湖
No.5 07日 チェーホフ山
No.6 08日 リュトカ川支流遡行
No.7 09日 博物館とガイド
No.8 10日 サハリン→名古屋
資料編-1 サハリン行動マップ
資料編-2 サハリン花辞典
◆行程 8月3日
天気 曇りときどき小雨
終日行程 名古屋→稚内
11:53 名古屋離陸
13:50 稚内着陸
14:40 氷雪荘着後、散策
17:10 北都観光米田氏の説明
18:00 夕食



サハリンに入って撮った街や村の風情
 サハリンの人々
中部国際空港・セントレア。早めに着いたので館内をぶらつく。10時過ぎに中部大学メンバーが到着し、搭乗手続きを済ませてから早めの昼食を食べて時間調整。ANA395便は10番ゲート。出発が少し遅れている。それでも10分少々の遅れで離陸した。


稚内上空から着陸態勢に入り、高度を下げて雲から抜け出したら雨。荷物を受け取ってバス乗り場へ。運転手に今夜の宿泊先、氷雪荘の下車バス停を聞いたら、寄ってくれるとのこと。バスは氷雪荘に横付けしてくれた。ローカルの人情に触れて、最果ての地が気に入った。

メンバー14名が集結するのは夕方5時。まだ時間がたっぷりあるので、到着した柴田夫妻、小田さんたちと海岸から丘の上まで散策することにした。海の見晴らせる丘は稚内公園といい、氷雪の門がはるかな樺太、サハリンを見据えている。戦後60年。回りにはハマナス、キンロバイ、ハマカンザシが咲き乱れている。

約束時間の夕刻5時を少し過ぎてしまった。すでに北都観光の米田さんがフロントで待っていた。すぐ説明に入り、インフラの整備が遅れているサハリン事情を聞いたり質問したり。そうこうしている内に広島、関西混成チームの山本さん、樟本さん夫妻、西谷さんが到着した。これで全員集合。治安の悪さ、設備の悪さを米田さんから脅かされて、サハリン行きに遠征隊の慎重な行動を再確認した。



主催   中部大学
     〒487-8501 愛知県春日井市松本町1200
     Phone 0568-51-1111 Fax. 0568-52-1156
隊長   南 基泰  中部大学応用生物学部助教授
副隊長  柴田 敏郎 薬用植物資源研究センター北海道研究部リーダー
企画渉外 長山 伸作 ホームページ制作 (株)一光社プロ
     山野草・早分かり写真辞典 カメラ片手の山歩き
     mailto:nagayama@japan-net.ne.jp


◆サハリン遠征の目的
EXPO愛・地球博のテーマ「自然の叡智」を目的とした植生調査

地球温暖化が持たらす植生への影響

白馬岳、八ヶ岳だけに生育するウルップソウ、ツクモグサなどの高山植物は、氷河期のサイクルで北方のシベリアから南下し、その後の温暖化で高山に取り残されたものと思われる。東濃地方に見られるリンドウも、4種類のDNA(中部大学恵那キャンパス)があり、これらのルーツをサハリンに求めてみる。今回は、モウセンゴケ、ヨモギを加えた三種類の植生を調査する。

今回の遠征には、薬用植物資源研究センター北海道研究部の柴田敏郎氏をはじめ、野草に詳しいメンバーが、全国から応援参加して頂くので、「日本の野草のルーツ」をテーマに、拡大調査し、北から移り住んだ植生を、六日間の滞在で情報収集する。

一回の調査で結論づけることは不可能ですが、傾向を探ると共に、経過における紀行、記録を成果として報告していく。

◆サハリン遠征への経緯
愛・地球博の市民放送局ウェブサイト構築にアドバイザとして関わり、市民との交流の中で、自分も市民記者として参加してみることになった。環境博と言われるEXPOだから、自然環境をテーマにしてみようと、「森と自然を守る人たち」シリーズの取材をすることに決めた。森は生命の起源であることを再認識し、森林破壊が生命体に与える危険を多くの人たちに伝え、エコモラルを浸透させることができればと、活動に入った。
そんなある日、恩師である中部大学の三浦昌夫学監と会った折りに、北方の植生ルーツを探りたい豊富を語ったら、大いに興味を示してくれた。私の山野草ホームページを監修してくれている応用生物学部・南基泰先生に相談して、サハリン遠征が実現することになった。



◆参加者
中部大学南基泰助教授と大学関係者6名。
薬用植物資源研究センター北海道研究部の柴田敏郎さん夫妻。
一般市民植物愛好家。低山徘徊派・広島の山本さん、樟本さん夫妻、池田の西谷さん、横浜の小田さん、それと私、長山を含めて総勢14名。



◆参考資料
書籍ガイド ワールドガイド・サハリン JTB発行 \1,700
ホームページ
●稚内市・稚内サハリン事務所 
http://www.city.wakkanai.hokkaido.jp/main/sakhalin.info/
●サハリンの植物 http://www.ocpa.or.jp/sakuya/hanazukan/hanazukan24.html
●蛇紋岩地帯の植物 http://www.h6.dion.ne.jp/~unisan/data/sakhalin/sakhalin1.html
●サハリンのヒグマ 
http://www.asahi-net.or.jp/~xi1k-ymzk/sakhalin.htm
●サハリン情報・青木和雄さん 
http://www.h5.dion.ne.jp/~sanesu/saharin/2.html
●サハリン州データ 
http://www.hi-net.zaq.ne.jp/nizhniy-kobe/subekt.sakhalin.htm
●東日本海フェリー・サハリン情報 http://www.kaiferry.co.jp/saharin/
●サハリン航空 
http://www.hokkaido-nomad.co.jp/sat/sat_ttable.html


8月3日 宿泊先 稚内民営国民宿舎・氷雪莊
〒097-0022 稚内市中央1丁目6番13号 TEL.0162-23-7116
ホームページ
http://www.minkoku.com/hokkaido/hyosetu.html
http://www.mapfan.com/index.cgi?MAP=E141.40.50.3N45.25.4.1&ZM=10


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