サハリン植物調査隊-4 森と自然を守る人たち
トゥナイチャ湖とカラフトマス

高山のハイマツ帯が海岸に生きるトゥナイチャ周辺の生物

草原を染める赤、ピンクの花々
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一面をピンクで塗りつぶしたヤナギランと、鮮やかなハマナス

森の中の野草の営み

トラップを仕掛けた森の中では、アキタブキ、エゾノヨロイグサ、ヨブスマソウ
キンミズヒキ、エゾスズランなどの野草が密集している。


オホーツク海岸を見下ろせる場所に白瀬南極隊慰霊碑がある。
1910年
この地より山辺安之助と花守信吉と
犬達は南極探検に発つ。
彼らを偲びつつ日露友好の
記念としてこれを建立する
2004/7/7
白瀬南極探検隊慰霊碑再興会


インデックス リンク
2005 8
No.1 03日 名古屋→稚内
No.2 04日 稚内→サハリン
No.3 05日 黒川湿原
No.4 06日 トゥナイチャ湖
No.5 07日 チェーホフ山
No.6 08日 リュトカ川支流遡行
No.7 09日 博物館とガイド
No.8 10日 サハリン→名古屋
資料編-1 サハリン行動マップ
資料編-2 サハリン花辞典
◆行程 8月6日
天気 晴れ
終日行程 ユジノサハリンスク→トゥナイチャ湖→ミズバショウの森→オホーツク海岸→ユジノサハリンスク
09:00 ユーラシアホテル出発
09:30 途中トラップ仕掛け
11:00 川沿いの草原調査
13:00 トゥナイチャ湖畔
バーベキュー昼食
14:20 海岸調査
16:00 オチホ海岸・白瀬記念碑
18:30 帰着

この日の夕食はレストランサイゴン



トゥナイチャ湖へ向かう途中、野ネズミの観察をするために、小型のライブトラップ(シャーマン式)を針葉樹林帯と広葉樹林帯の二個所に5個ずつ設置する。これは翌日に回収したが、機能しなかった一台を除き、すべてに野ネズミが入っていた。これらは後日、ガガーリン公園奥に放ったが、生息密度が高く、豊かな森を意味しているのだろう。

トゥナイチャ湖手前の草原を、川沿いに観察するためにバスを下りた。エゾオトギリの黄色花が目立つ。昨日は珍しいと思ったオクエゾガラガラが、あちらにもこちらにも。エゾムラサキニガナの群生する紫色が殊の外美しい。何でもないフランスギクまで、思わずシャッターを押してしまう。前方に見慣れたバスが止まっている。ぬかるみにはまり込んで立ち往生。手伝って押すが、重いバスは言うことを聞かない。諦めた運転手は、助けを呼びに歩き出した。私たちはバスを横目に再び歩く。ハギの類も多く花を咲かせている。概して日本と同じ植生が80%か。あとは親戚ともいえる変種がほとんどで固有種の存在は少ない。日本では山地、亜高山で咲く花が、緯度の関係で平地、海辺に育っていることには驚くが、本州から北海道、サハリンと縦の線で結ばれていたことは確かだろう。野草密度の高さは、さすがにすごく、内地ではロープによる立入禁止で観察がままならないが、ここではどこでも自由に行動、観察、写真撮影ができる。当然のことながら、植物への配慮は怠らず。

相変わらず天気は上々。欲を言えば暑すぎる。


草原のヤナギラン、エゾムラサキニガナ、フランスギク、オクエゾガラガラ、エゾニュー

ウツボグサ、ナミキソウ、ゴボウ、サワアザミ、カラフトイバラ

キツリフネ、ホナガナナカマド、タムラソウ、エゾノレンリソウ

ミズイモ、ハンゴンソウ、エゾオトギリ、ホウチャクソウ、未同定

シロバナシナガワハギ、ハマナス、エゾナデシコ、ゼンテイカ、ワダン

ハマベンケイ、カラフトマス

村人の助けで、ぬかるみから脱出したバスが、ヤナギランの群生する草原入口で待っていた。ここからバスで森の中に入った。シラカバ、トドマツ、エゾマツの樹林帯に入ると、ミズバショウ、エゾノゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、イチヤクソウ、ミツバオウレンなども花後の姿を見せていた。
湖畔のレストランで遅い昼食を食べる。バーベキューとのことだったが、コースのメインディッシュはドデカイ牛肉片の串焼き。私にはヒトカケラで充分過ぎる。ここのビールは生暖かい。レストランはどこも禁煙です。スモーカーは早めに食事して喫煙コーナーへどうぞ。
※サハリンは喫煙者が極めて多い。ワシリさんも運転手も愛煙家であり、街角でタバコを吸う女性も目につく。ついでにワシリさんの話では、アル中、いわゆるアルコール依存症が2割もいるらしい。寒い国だからと言っても、ちょっと多すぎる。強いアルコールと思われがちなウオッカは45度程度だから、ウイスキーやコニャックと変わりないが、96度のスピルチが存在するという。興味はあるが、万年胃潰瘍の私は、一瞬で胃に穴が開くことだろう。

食後はトゥナイチャ湖畔からオホーツク海岸をバスで飛ばした。
トゥナイチャ湖の海岸沿いにはハマナスが咲き乱れ、この低地にハイマツ、ガンコウランが育つ特殊な生態が見られる。花の盛りには少し遅かったが、夏が短い北の国では、夏から初秋の野草が一気に花を咲かせている。白瀬南極隊慰霊碑を確認し、カラフトマスの遡上する群を見てから海岸を歩いた。


夕食場所、レストランサイゴンで歓談するメンバー



名古屋→稚内稚内→サハリン黒川湿原トゥナイチャ湖チェーホフ山リュトカ川博物館とガイドサハリン→名古屋
サハリン行動マップサハリン花辞典


カメラ片手の山歩き