PPMフレームワークで製品サービスのライフサイクルを見極める

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PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)ライン

ボストンコンサルティンググループが1970年代に提唱したマネジメント手法です。事業や製品のライフサイクルを、問題児、花形、金のなる木、負け犬の4つのフレームで立ち位置を確認する経営戦略分析手法。当時のGEが日本製品に対処するために活用したことで知られています。

図表の縦軸は市場成長率、横軸は相対的市場占有率を引き、事業、製品、サービスなどが4つのフレームのどこに位置するかを確認し、ライフサイクルを考察します。下図は製品の経年変化を描いたものです。事業分析には欠かせないポートフォリオです。

PPM図表

PPMの4つのステージで戦略は異なる
1. 問題児新たな製品や事業の導入期は、常に問題児です。万全を期した積りでも、成功するか失敗するかは分かりません。一勝九敗を覚悟して、前向きに努力を惜しまないことです。広告、販売促進活動の予算をケチると失敗します。市場規模に合わせた最適の投資を予算化して下さい。一般的には三カ年計画で黒字化を目指します。成長性が低いときは、マーケティングミックス4Pの考察で右肩上がりに専念します。深入りは危険なので、ミスマッチには撤退の決断も大切な資質です。スピード時代には二三年で損益分岐点を上回る花形にあるべきでしょう。

2. 花形市場の認知度と共に、成長性は順調に右肩上がりカーブを描きます。満足な売上高を確保しながら先行投資を焼却できるようになれば花形です。おめでとうございます。ここで手を緩めないことです。麻雀などの賭け事でも、勝っている時に手を緩めると運は逃げて行きます。儲けの一定割合を攻めの予算に充てて、更なる上昇カーブを貪欲に狙って下さい。儲かるビジネスは直ぐに競合の知る情報化時代です。競合の追随を許さない機能・品質・価格・納期で差別化するトップシェア対策を講じて下さい。

3. 金のなる木成長性は鈍化しても相対シェアは高まる時期です。収益などの率では下がっても額では上積みできる、正に金のなる木です。競合の数も増えますが、先駆者の強みを生かして下さい。40%以上のシェアが保てれば排他的リーダーです。競合との差別化、差異化に力を注ぎ、水を空けることで成熟期間を持続させてください。リニューアルや関連商品開発にも予算は潤沢です。アグラをかかず、新たな製品開発、事業開発にチャレンジして下さい。相対シェアに陰りが出るときの対処が重要です。時期を見ながら縮小し、イノベーション戦略製品へのシフトを考えて下さい。

4. 負け犬負け犬になってからの撤退は大ケガのもと。優柔不断は経営危機を招きます。どんなに素晴らしい製品でもライフサイクルがあります。時代が不要と判断したら寿命です。赤字化する前に決断して下さい。他事業との関係で捨石として残すこともありますが、トータルでの採算性を十分検証してください。

客観的にライフサイクルを俯瞰する
PPMの参考資料としてロジャーズのS字カーブグラフとの関係を下に示します。
SカーブとPPM

S字カーブとPPMカーブの併用で、製品や事業のライフサイクルが見える化できます。
販売数量、売上高、粗利でプロットすれば、傾向が把握でき、対策が具体化します。
一般的にはPPMカーブが右肩下がりになると、競合との価格競争が激化して粗利率は急激に悪化します。現在の経済界は総体的に成熟期から衰退期にあるため、20世紀と比べると価格破壊により粗利率が悪くなっています。儲けの実感がないのも事実です。


イノベーション戦略への挑戦イノベーションに「難解敬遠」の心理が働くと成長は止まります。イノベーションには破壊的イノベーションと持続的イノベーションがあります。5つのイノベーションを、カネいらずの守りの戦略と、先行投資にカネがいる攻めの戦略に分けてみました。攻めの戦略は失敗リスクを考慮する必要があります。今、直ぐ成果を出せる戦略は守りの戦略です。
シュンペーターの5つのイノベーション

ライフサイクルを見据えたイノベーションは、企業存続の条件です。次代の新製品、新事業の創出に時間を割いて挑戦しない限り、未来はありません。。コロナ禍を経て経済は混沌の時代に突入しています。新たな経営方針書を策定して、自社の風土に相応しいイノベーションに挑戦して下さい。健闘をお願いします。
経営方針書の作り方


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